創造思考のメカニズム/プロセスモデル

◆ 創造思考のメカニズム/プロセスモデル
人間の創造的思考(問題解決)、思考プロセスモデルとして、以下のものが有名。
○ パースの三分論モデル
○ ワラスの四段階説
○ ヤングの五段階
○ 川喜田のW型問題解決学
○ ブルーナー・市川亀久彌・デボノ・ヴェルトハイマー等の思考の二分論モデル
◆ パースの三分論
アメリカの哲学者パース(Peirce, C.S.)は、知識発見の論理の基本構造を科学哲学から論じ、知識発見全体のプロセスは 『発想』 『演繹』 『帰納』 の3段階からなると主張した。
あらゆる探求はまず、意外な事実の観察から始まる。
第一段階の発想では、その意外な事実を説明するような仮説が提案される。
第二段階の演繹では、その仮説から導き出される結論が得られる。
第三段階の帰納では、その仮説が経験的に験証される。
発想 (abduction) :
ある観測事実を説明する(帰結まで導く)ための仮説を直観的に発見し、仮説設定 / 仮説形成する段階。
演繹 (deduction) :
諸前提から論理的に正しい結論を導き出す段階。
帰納 (induction) :
個々の事実/事例の集まりから、そこに共通する性質や関係を見出して、規則性を導き出す段階。
◆ ワラスの四段階説
アメリカの心理学者ワラス(Wallas,G.)は創造的なアイディアを発想する際の思考プロセスは4段階あるとしている。(1926)
準備期 → 孵化(あたため)期 → 啓示(ひらめき)期 → 検証期
まず、何らかの課題の焦点を明確に絞り、解決に役立ちそうな情報を集めて課題を解決しようとする。が、創造性を必要とする課題の場合、この段階での収束的思考で解決するのは稀で、 「あたため」期間が必要である。そして「ひらめき」が生じたら、結果の妥当性を評価し、修正しながら最終的な解決に到達する。これが創造活動の基本的な流れである。
1. 準備 (preparation)
解決したい課題について、あらゆる面から検討・探索して、必要な情報収集を行い、意欲的に課題解決に集中する。
自らの知恵・知識や技術、過去の体験などを通して課題に対処しようとし、何が問題なのかを問い続け、試行錯誤を続けて課題の本質を明らかにしようとする。
別の角度から考えたり、新しい着想を模索するなど、発散思考で徹底的に、あーだこーだといろいろやってみることが大切。 集中・徹底してやればやるほど、無意識的思考が大きく働くようになる。これが以下 2→3の流れに大きく影響する。
2. 孵化 = あたため (incubation)
熱心な追究によりアイディアが煮詰まったり行き詰まりを感じてくる。一旦問題から離れ、別のことを考えてみたり、別の活動に携わる。一見問題とは無関係なことで、気分転換/気晴らしするなどして、ひらめきのくるのを待つ。
この段階では、課題についてあまり意識を働かせずに、自然とヒントが浮かんでくるのを待つ。
3. 啓示 = ひらめき (illumination)
一見無為の中で、あるとき突然前触れもなく、独創的な解決法を思いつく。 無意識的思考の関与が大きく、夢などからヒントが与えられることも多い。直感がひらめくことで、予測しなかった、思いがけない有効なアイディアが出現する。
このインスピレーションは同時に強い確信を伴う。
4. 検証 (verification)
ひらめき得たアイディアが本当にそれでいいのか、実際に有効なものとして通用するか否かの妥当性を課題に当てはめて、冷静に論理的に「検証」し、具体化する時期。
この4段階を、右脳と左脳のはたらきに当てはめると次のように言える。
準備期 : 右脳と左脳の交流
あたため期 : 右脳と左脳の役割の交代
ひらめき期 : 右脳の役割大
検証期 : 左脳の役割大
準備期およびあたため期は右脳と左脳の相互の働きが必要で、ひらめき期には右脳の働きが、検証期には左脳の働きが重要になる。 つまり、何かを創造するためには一方だけを働かせる思考ではダメで、右脳と左脳の両方をバランス良く働かせることが肝心。
◆ ヤングの五段階
アイディア作成の基礎となる一般的原理
アイディアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない
既存の要素を新しい一つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性を見つけ出す才能によって高められる。
個々の事実がそれぞれ分離した知識の一片にすぎないという人もいれば、それぞれが一連の知識の鎖の中の一つの環であるという人もいる。 一つの事実が他の事実と関連性と類似性を持つ。
1. 資料集め - 当面の課題のための資料と一般知識の貯蔵を絶えず豊富にして集積される資料。
2. 心の中でこれらの資料に手を加えること。
3. 孵化段階 - 意識の外で何かが自分で組み合わせの仕事をやるのに任せる
4. アイディアの実際上の誕生 - ひらめきの段階
5. 現実の有用性に合致させるために最終的にアイディアを具体化し、展開させる段階。
※ 本当にアイディアを作成したいのなら、この5つのどの段階にもそれに先行する段階が完了するまで入っていけない!
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